2011/08/13

ハイスクール USA ~アメリカ学園映画のすべて~


イスクール USA ~アメリカ学園映画のすべて
長谷川 町蔵
山崎 まどか




いやぁ、ほんっっっとうにマニアックな本でした(笑)

ほら、あの廊下にズラーっと並ぶロッカーに、スカジャン来たアメフト部のやつに、金髪のビッチなチアリーダーに、眼鏡でヒョロいオタクに……っていう映画の網羅本。

いかに、こんな映画とそしてお約束みたいな展開やキャラ設定が出来上がったかという歴史を対談形式で語り、映画を紹介しつつ、注釈やコラムにてその時代背景や当時の社会事情、学校内部事情、俳優背景、映画の裏話などなどから宗教、スポーツ、音楽なんかの米国文化まで引っ張り出して2人の著者が対談形式で解説しまくってる詳しすぎる本。
対談形式だからか、ちょっと昔のファンブックとか、同人誌とか、そんな『通』な雰囲気がするのがまた、この辺確信犯なんだろうな。

昔、アート系の洋書中心に充実してた大きな本屋で見つけてずっと気になっていた本だったんだけど、その本屋が無くなってしばらくの間忘れていたんだけど、最近になって思い出して読んだ本。

それほどの期待を持って読み始めたわけではなかったんだけど、読み始めるや、期待どころか、なんだこれ!?っていうほどマニアックでちょっと感激。
ジョンヒューズ作品から現代の学園モノ映画(ただし05年まで)まで取り上げていて、無意識に学園モノを好んで見てた私にとって、これ見たことある、あれも、それも、といったかんじで。
ジョンヒューズ作品が好きなんだけど、もはや80年代の映画は古い一昔前の映画認定になりつつある私の年代の人たちは見る人が少ないわけで、話せる人も少ないから、対談形式になってジョンヒューズについて語ってる文章を見ただけでどこか嬉しく感じたり。

ずっと日本の学校にいた20代の私にはなかなか詳しくなれない時代背景やストーリーの舞台設定、おなじみキャラ設定の紀元なんかが知れる凄く勉強になる本で、
すでに見ていて、中には何度も見てる映画の後ろ側を知って新たな視点が生まれるなんていう驚きもあった。
プリティインピンクの最初ラストは今の映画のラストとは違うラストになるはずだったなんて!!

ある程度ここに紹介されてる映画を見てる人向きの本。
入門として読むのもいいかもしれないけど、対談形式の解説文章でネタバレしてる場合が多々あるから。

それに、映画紹介とはいえ対談形式を軸にして進めてるのもあってか注釈や紹介文も自由でイチ学園モノ映画好きによる説明ってかんじなので随所随所で思わず笑ってしまったのは私だけではないはず。
ホラー映画のお約束パターンは思いっきり笑った。
プリンセスダイアリーズのフォロワー映画についての、プリンセスダイアリーズのテンプレ映画紹介文にも毎度笑った。言われればとなったけど、そのテンプレで紹介できてしまうっていうのに気付かされたのが一番ツボだった。
他にも本当に読んでて笑ってばっかり。

コラムに紹介されてたピーナッツの作品をベースにしたオフブロードウェイ作品のDog Sees Godが気になって、捜して見て、あんまりな話にラスト涙してたり。(そのことは過去のブログに2編に渡りバッチリ書いてる通り/1編目2編目

そして、
ルゴシ作品など見てるのが教養とされてるが見てる者は少ない。とりあえずティムバートン作品を見ていればオッケーだろう。
ってするどい断言をしてる『ゴスとは』コラムにビックリ。
ハイ!見ないといけないって思ってるのに見てない指摘通りのゴス女がここにいます(笑)
そうなのよーハマーフィルムは見てないといけない決まり事みたいな暗黙の了解が存在してるんだけどさ…。
それをビシッと書いてる長谷川さんがすごいです。
それに負けないビシッと感の山崎さんのコラムも鋭いんですよ。ええ。びっくりします。

とにかく、すごくマニアックで、すごく参考になる日本で唯一の学園モノ映画についての本です。
読んでよかった。
学園映画好きの人は必読な一冊。

あと5年後くらいにまた1冊2作目っていって出して欲しい、なぁ。
これ06年出版で、05年までの作品を取り上げてるから、それ以降に登場した映画は紹介されてないんだよね。
それ以降に登場した学園映画で、ティーンを熱狂させた『ハイスクールミュージカル』っていう学園映画にミュージカルを持ち込んだ映画が登場したり、後にドラマでは『Glee』とかも出て来るわけで、常にお約束は守りつつ進化し続けてるから。

それにしても、
おもしろかったです。
ありがとう、長谷川さん、山崎さん!!

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