2011/08/17

[Review] The Chronicles of Vladimir Tod: Eighth Grade Bites

The Chronicles of Vladimir Tod:
Eighth Grade Bites
Heather Brewer

::本の紹介::



悩み多きハーフヴァンパイアのティーンエイジャーVladの憂鬱な学校生活。』


180ページほどの薄い本なのに、中身がぎゅっと詰まっていて面白かったです。何よりも、Vladがカワイイんです。
文章は、基本Vlad視点の3人称。たまにVlad以外の3人称と彼の父親の1人称の日記が挟まってます。


8年生のVladは、数年前に火災事故で両親を亡くし、今はNellyおばさんと2人暮らし。
亡くなった彼の父親はヴァンパイアで、彼の母は人間で彼はハーフヴァンパイア。
父親のヴァンパイアの性質を強くひいてる彼は、外に出て行く時は日焼け止めがかかせないし、致命的なニンニクアレルギーだし、何よりも普通の人間の食べ物は彼には何の意味も無く血を飲まないと生きて行けなくて、看護士のNellyおばさんが病院からくすねてくる輸血パックが唯一の食料だったりする。
ヴァンパイアという正体を隠さないといけない彼は、ランチに隠れて血を接種しなければならないし、うっかり伸びてきた牙を隠さないといけない時があったり、
それだけじゃなく、いじめっ子2人組にゴスボーイって言って毎日のように絡まれるし、友達のように親しかったCraig先生の謎の失踪からしばらく経つし、密かに想いを寄せる美人Meradithには話しかける勇気も無く、それどころか彼女はNellyおばさん以外で唯一彼の正体を知ってる彼の親友のモテるHenryの方が好きみたいだし、と悩みは絶えず。
そんな中、行方不明のCraig先生の代わりに臨時教師として英語の授業を担当することになったOtis先生は、授業で狼男やヴァンパイアのような空想上の生き物について教えるというシルクハットを冠り自分のことを探るような目をした怪しさ満点な教師で、Craig先生を知ってるような知らないような態度に彼が先生の失踪に関わってるのではと疑問を持ち、さらにVladの悩みは急増。
そして、うろつくヴァンパイアの殺し屋、両親の事故の謎。
怪しいOtis先生は一体何者なのか、Craig先生は見つかるのか、Meredithに声をかけることができるのか、そんなVladの学校生活。


の、話でした。
冷血非道で人間を食料としか見てないヴァンパイアでもなく、人間の血は吸わず動物の血だけで生きてるんだなんていうヴァンパイアでもなく、がっつり人間の血を飲んでるけど女の子に話しかけるのすらシャイでできない『非人気者』ポジションのハーフヴァンパイアのVlad。暗い過去を抱えつつ、『非人気者』ポジションだからか、応援したくなります。
シリアスになりがちなほど、あんまりハッピーじゃないVladを取り巻く環境なんだけど、ヴァンパイアだけど普通のティーンならではの悩みに悩んでる姿や、どこかヘタレっぽいところに思わず笑ってしまい、軽快に話が進んで行きます。
また親友のHenryもなかなかいいキャラしてるんだ。「昔、噛んでごめんな」って言うVladに「いいよ別に。」と返すサッパリさ(笑)まぁ気にしてたら親友やめてただろうけど。他はピリピリしてるのに緊張感無く車で寝てるし(笑)

話は後半で畳み掛けるようにスピードアップし、ちょっと意外な展開を見せ一気にラストまで走りきる。2度くらい予想を裏切られてビックリだったわ。
そして次回(9年生編)へ〜続く!みたいな。一番最後の下りは、ティーンズ向け映画のラストにありそうな、パッパッパッと短いショットが続いて最後シュバッとズーム的な映像が思い浮かんで、すごく好きだった。



この物語の著者は、ゴスレディーのHether Brewer。
この本の最初にこうある。

『この作品を夫のポールと、(理由はスティーヴンキングが知ってるわ)
そして、アメリカの小さな町に住むすべての非人気者の子供達に捧げます』

彼女はアメリカの小さな田舎町に育ち、その頃からゴスガールだったそう。そして、Vladのように学校で変わり者扱いされいじめられて、まさに生き地獄のようだったとか。
Vladを介して、『非人気者』ポジションにしかわからない部分を大いに共感できるはず。
この本は、彼女のように、そしてVladのように『非人気者』のポジションの子たち(子だった人たち)に捧げる作品なのです。

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